QSC
QSCチェックの設問は多いほど良い?|店舗が本当に改善するチェック項目の作り方
QSC Checker編集部
QSCチェックを作るとき、多くの企業で最初に起こりやすいのが、チェック項目を増やしすぎてしまうことです。
店舗をよく知っている人ほど、
「ここも確認した方がいい」
「これも大事」
「以前こんな問題があったから、これも入れよう」
と、チェックしたい項目が次々に増えていきます。
しかし、QSCチェックの設問は多ければ多いほど良いわけではありません。
むしろ重要なのは、
「この設問がすべてできていれば、自分たちが目指す店舗になっている」
という状態を、できるだけ少ない設問で表現することです。
この記事では、店舗改善につながるQSCチェックの設問の考え方について解説します。
優秀な人ほど「気になること」はたくさんある
例えば、非常に優秀な店長経験者が店舗に入ったとします。
店舗を細かく見れば、
入口の状態
挨拶
スタッフの表情
制服
テーブル
メニュー
提供時間
盛り付け
商品温度
厨房
冷蔵庫
食材管理
清掃状態
など、気になることはいくらでも見つかります。
経験豊富な人なら、細かく見れば100個、200個の改善点を見つけることもできるでしょう。
さらに店長の上司が3人いて、それぞれが自分の経験や価値観で指摘をしたらどうなるでしょうか。
理屈の上では、店長が受け取る注意や指示は数百個にもなります。
これでは店長自身が覚えられません。
まして、アルバイトスタッフ全員が理解して実行するのはさらに難しくなります。
ここに、店舗管理を複雑にしてしまう原因があります。
「正しい指摘」と「必要な設問」は違う
ここはQSCチェックを作るうえで非常に重要です。
その指摘が正しいことと、QSCの設問に入れるべきことは同じではありません。
例えば、
「冷蔵庫の扉は必ず手で閉める」
というルールがあったとします。
衛生面や設備の扱い方として、それ自体は正しい考え方かもしれません。
しかし、QSCチェックの設問として採用するかどうかは別の問題です。
考えるべきなのは、
「その項目は、自分たちが目指す店舗をつくるうえで、どれくらい重要なのか?」
ということです。
もし、
「料理が適正な温度で提供されている」
「お客様への挨拶ができている」
「トイレが清潔に保たれている」
という項目と比較したとき、冷蔵庫の閉め方の重要度が低いのであれば、QSCの主要設問に入れないという判断もできます。
細かいルールを軽視するという意味ではありません。
QSCでは優先順位をつけるということです。
QSCの設問は「会社が目指す店舗」を言語化したもの
QSCチェックシートを単なる点検表として考えると、設問はどんどん増えていきます。
一方、
「自分たちがどんな店舗をつくりたいのかを具体的な行動や状態にしたもの」
と考えると、設問の作り方が変わります。
例えば会社が、
「料理がおいしく、スタッフが気持ちよく接客し、いつ来ても清潔な店」
を目指しているのであれば、その状態を実現するために本当に必要な設問を選びます。
つまり、
理念・店舗像
↓
重要な状態・行動
↓
QSC設問
という順番です。
QSCの設問を見るだけで、
「この会社がどんな店舗をつくりたいのか分かる」
くらいまで整理できるのが理想です。
100項目を70%できるより、30項目を100%できる店を目指す
設問数を増やすと、店舗を細かく評価できるようになります。
しかし、その代わり現場が覚えられなくなります。
例えば100項目あるチェックシートで70項目できている店舗と、重要な30項目に絞って30項目すべてできている店舗があったとします。
QSCチェックの目的が店舗改善であるなら、後者の考え方には大きなメリットがあります。
スタッフ全員が、
「うちの店ではこれが重要」
と理解できるからです。
設問を減らすことは、基準を甘くすることではありません。
むしろ、
本当に重要なことを選び、それだけは必ず守る。
という店舗運営です。
最初は30項目程度から始める
QSCチェックを初めて導入する場合、まずは20~30項目程度から始める方法がおすすめです。
例えば、
Quality:10項目
Service:10項目
Cleanliness:10項目
程度です。
もちろん業態によって適切な数は変わります。
重要なのは「30」という数字そのものではなく、店長やスタッフが内容を理解し、普段から意識できる量にすることです。
設問を見なければ何をチェックされるのか分からない状態より、
「QSCチェックで見られるポイントはだいたい分かっている」
という状態の方が、日常の店舗運営にQSCが定着します。
全店舗が100点を取れるようになったら設問を増やせばいい
設問を少なくすると、
「簡単すぎるのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、それで問題ありません。
例えば30項目からスタートして、ほとんどの店舗が毎月100点を取れるようになったとします。
それは、会社全体の店舗運営レベルが一段上がったということです。
そこで初めて、
「次は何を当たり前にするか?」
を考えます。
そして新しい設問を追加したり、すでに完全に定着した項目を入れ替えたりします。
つまりQSCチェック自体も、
30項目を決める
→ 全店舗で定着させる
→ 100点に近づける
→ 次の基準を追加する
→ さらに店舗レベルを上げる
という形で成長させることができます。
最初から完成された100項目を作る必要はありません。
「できていないこと」すべてを設問にしない
店舗を調査すると、設問以外にも気になる部分は出てきます。
しかし、そのたびに設問を追加していると、チェックシートは際限なく大きくなります。
新しい設問を追加するときは、
「これは本当に全店舗で毎回確認するほど重要なのか?」
を考える必要があります。
一店舗で一度起きた問題なのか。
特定のスタッフだけの問題なのか。
それとも、ブランド全体として絶対に守ってほしい基準なのか。
ここを分けることが重要です。
「気になったこと」と「会社として継続的に管理すべきこと」を分ける。
これだけでもQSCチェックはかなりシンプルになります。
設問には優先順位がある
QSCの項目を考えるときには、すべてを同じ重要度として考えないことも大切です。
例えば飲食店なら、
食中毒につながる衛生管理
と、
備品の置き方が少しずれている
では重要度が違います。
同じ1項目だからといって、店舗運営に与える影響まで同じではありません。
設問を採用する際には、
「できていなかった場合、お客様や店舗にどれくらい影響するのか?」
を考えると整理しやすくなります。
安全、商品品質、顧客満足、ブランドイメージなどへの影響が大きいものから優先して設問にします。
良いQSCチェックシートは「覚えられる」
QSCチェックシートの完成度を見る一つの方法があります。
それは、
現場の人が設問をある程度覚えているか
です。
毎月同じ30項目をチェックしていれば、店長はもちろん、スタッフも、
「ここはいつもチェックされる」
と分かるようになります。
すると調査日だけ掃除したり準備したりするのではなく、普段の営業からその状態を維持するようになります。
これは非常に重要です。
QSCチェックの理想は、チェックで問題を発見することではありません。
最終的には、
チェックしなくても基準が守られている店舗をつくること
だからです。
QSCチェックは「減点表」ではなく店舗の設計図
QSCチェックというと、どうしても「できていないところを探すもの」と考えられがちです。
しかし、本来は少し違います。
QSCの設問は、
自分たちが目指す店舗を具体的な状態にした設計図
とも考えられます。
30個の設問があるなら、
「この30個が全部○なら、私たちが目指している店舗になっている」
と言える状態を目指します。
だからこそ、設問数を増やすことよりも、何を設問として残すかを決めることの方が重要です。
まとめ|QSCの設問は少なく、重要なものに絞る
QSCチェックでは、細かく見ればいくらでも設問を作ることができます。
しかし店舗改善の目的は、問題をたくさん見つけることではありません。
店舗を、自分たちが目指す状態に近づけることです。
そのためには、
自分たちが目指す店舗を明確にする
その状態に直結する重要な設問を選ぶ
最初は20~30項目程度に絞る
店長やスタッフが覚えられる量にする
全店舗が高い水準でできるようになったら基準を上げる
という考え方が有効です。
100個のことを70%実行するより、本当に重要な30個を100%実行できる店舗をつくる。
QSCチェックを複雑な管理業務にせず、現場のみんなが理解できるシンプルな共通基準にすることが、店舗改善への近道です。
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